ウルトラマン型プレゼンテーションの極意

ガロ(2010)は、アップルのスティーブ・ジョブのプレゼンテーションの秘法を紹介するなかで、適役を導入して、自社の製品や主張をヒーローとして演出するテクニックについて述べている。


プレゼンテーションの早い段階で導入する適役は、問題提議である。聴衆が痛みを感じる部分を鮮明に思い描かせるテクニックである。時間を割いて問題を詳しく説明すれば、聴衆に実感を持ってもらい、痛みを強く感じてもらうことができる。そして、その敵をやっけつける正義の味方を登場させる。例えば自社の製品(=正義の味方)が、どのような形で痛みを和らげてくれるのか、わかりやすく説明するわけである。


これはいってみれば、ウルトラマン型のプレゼンテーション手法である。正義の味方(=ウルトラマン)というのは、情熱であり、理想であり、救世主である。聴衆を助けるから正義の味方なのである。敵は手強ければ手強いほど、燃える。聴衆を味方につけることができる。簡単にやられてしまう敵だったらつまらない。悪役であればあるほどよい。そして、聴衆と一体になって、敵をやっつけようと演出するわけだ。それで聴衆をこの息を飲むような戦いに引き込んでしまうわけである。