論文執筆方法


本学期の論文執筆は、研究を行ないながら論文を書き上げる訓練をする目的で行なうものです。論文そのものの質よりも、基本的なステップを踏みながら、調査を行ない、それに基づいた論文の書き方、体裁を学ぶことを重視します。そのために、いくつかのルールを定めます。

論文の基本的な構造

要約

この論文の内容を、1ページかそれ以内に簡潔にまとめる。要約を書く意味は、読者への配慮である。忙しい読者のために、人目でこの論文が何を言いたいのかを伝える。要約された内容に興味を示してくれた読者にのみ、中身を詳しく説明すればよいのである。

トピック、リサーチクエスチョン

あなたはいったい、何をこの論文で論じたいのか、そのテーマを手短に紹介する。また、論文を書く前に、どのようなことを知りたかったのかについて、その動機などとともに紹介する。それがどうして重要なのか、どうして面白いのか、どうして読者があなたの論文を読むに値するのかを論じる(読者をひきつけるための一種の売り込み、営業である)。

文献レビュー

あなたが興味があるテーマは、必ずといっていいほど、誰かがすでに調査や研究を行なっているはずである(そうでなければ、そんなテーマを見つけだすことのできるあなたは天才と言える)。よって、過去の文献を整理し、すでに今までにわかっていることは何かを述べる。そして、今でもまだわかっていないことは何かを明確にする(その今わかっていないことを調査するわけである。すでにわかっていることを再び調査しても価値がないからである)。


少なくとも、10冊(篇)以上の本または論文を参照する。これは、自分が調べたい、論じたいトピックについて、過去にどのような研究や調査がなされていたかを論じるための部分(過去の文献レビュー)を書くために必要なことです。

調査方法・結果

必ず、1つ以上の数量的研究(アンケートや実験)か、または2つ以上の定性的研究(フィールドワーク、参与観察、インタビュー)を行い、それに基づいて論文を書く。


これは、2年後期で学んだいくつかのリサーチ手法を、あなた自身が実際に使いこなせるようになることが必要だからです。知ることと実際にやってみることはかなり違うので、必ず実地でやってみてください。

考察

実際にリサーチを行なって、どのようなことが分かったのか。発見事項、検証された仮説などを整理する。今回のリサーチの成果から、何が新しく言えるのか。メッセージを明確に伝える。

引用文献

引用文献などのフォーマットは、以下の論文作成要綱に基づいて書く。とりわけ学術論文(卒業論文を含む)の場合は、フォーマットが大事です。フォーマットが統一されているということは、誰が読んでもすぐに理解できるように決められたルールにしたがうということです。

ページ数は、特に定めません。