佐々木(2013)は、「伝え方にはシンプルな技術がある」「感動的なコトバは作ることができる」と指摘し、伝え方の技術を学ぶことで「ノー」や「確率ゼロ」を「イエス」「アリ」に変えることができると主張する。人生は小さなものから大きなものまで「伝え方」で変わるというのである。就職ににせよ昇進にせよ、最後まで自分を守ってくれるのが「伝え方」であり、就職できる人、できない人、昇進するひと、できない人を分けるのは9割が「伝え方」だという。さらに、伝え方やコトバの技術を持っている人は、仕事でも成果を出せるという。
例えば、好きになった人に「デートしてください」とお願いしてもイエスとはいってもらえないだろう。しかし「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど、行かない?」と誘うと、デートしてくれる確率は大きくアップすると佐々木はいう。同じことをお願いするにしても、伝え方で「ノー」か「イエス」が大きく変わる例である。このような「ノー」を「イエス」に変える「お願いコトバ」を作る手順は、(1)自分の頭の中をそのままコトバにしない、(2)相手の頭の中を想像する、(3)相手のメリットと一致するお願いをつくる、ということだと佐々木は解説している。その際、「相手の好きなこと」「嫌いなこと回避」「選択の自由」「認められたい欲」「あなた限定」「チームワーク化」「感謝」といった切り口を用いるとよいという。
上記の例の他にも、佐々木は、人々の心を動かす「強いコトバ」をつくる様々な技術を紹介している。例えば、伝えるコトバに驚きワードをつくるサプライズ法、正反対の言葉をうまく組み合わせるギャップ法、自分の肌感覚に素直な言葉をつかう赤裸々法、相手の記憶に刷り込み、感情を乗せるリピート法、クライマックスワードを添えるクライマックス法について解説している。