まずは量をこなしてみる

北尾(2009)は、ヘーゲルの「量質転化」の概念を紹介している。これは、ある物質の量が一定数以上に達すると、その物質の性質自体が変わってしまうことを意味しているが、このような量と質の関係は事業を考える上でも重要だと指摘する。量を増やせば質が変わる。質が変わればさらに量が増える。こう考えると、未熟であっても「まずは量をこなす」ということが、「量が質に転じる」というように質の向上の実現につながり、質が向上すれば、良いものをたくさん生み出すことにつながるというように考えられよう。


また北尾は、ヘーゲルの「螺旋的発展の法則」も紹介している。これは、世界のさまざまな発展は横から見たら上へ上がっていくように見えるが、上から見ると回帰するように元に戻って見えることがあるということを意味する。つまり、全体を俯瞰すれば、螺旋状に世界は進み、発展していくことを指している。