世界経済の動向をつかむ

中原(2008)によれば、世界経済の流れを押さえておくためには、各国の政府や中央銀行が発表する経済指標やメッセージなどに注意を払うことが重要である。特に、速報性の高い指標に注目する。世界経済は基本的にアメリカ経済が引っ張っている。つまり、今後も当面はアメリカ経済は世界経済のエンジン役で続けるため、アメリカ経済=世界経済と捉えてほぼ間違いない。アメリカの中長期の景気を予測するうえで重要なのは、次の2つである。

  1. アメリ労働省が発表する雇用統計(非農業部門雇用者の前月比増減数)
  2. ISM製造業景況指数

なお、日本の経済を予測する場合には日銀の短観で十分である。調査項目の中で最も重視されるのは、大企業製造業の「状況判断指数(DI)」である。


注意すべきは、政府や中央銀行が景気後退と認定したときは、すでに景気後退が大きく進行してしまっており、投資家にとっては遅すぎる情報でしかないことである。経済指標の動きを客観的に判断し、政府や中央銀行よりも早くて正確な景気判断をする必要がある。


為替相場については、次の3つのみ押さえればよい

  1. 金利差(拡大傾向では高金利通貨が買われやすく、縮小傾向では低金利通貨が買われやすい)
  2. 物価上昇率物価上昇率が適度に安定している国の通貨は買われやすい)
  3. 経済成長率(実質経済成長率GDP成長率の高い国の通貨が買われやすい)


この3つの要素と関連が深いのが、アメリカのFOMC連邦公開市場委員会)、EUのECB理事会(欧州中央銀行理事会)、日本の日銀金融政策決定会合など、各国中央銀行の定例会議、各国中央銀行トップの発言、および各国の経済指標(消費者物価指数GDP)である。