キャリアに重要なセルフレギュレーション

われわれは、人生の目的や意義がはっきりしていて、それを実現するための長期、中期、短期の目標が定まっており、その目標を達成するためのプランがあり、それに基づいて日々の活動を行い、着実に前進しているという感覚があれば、精神が安定し、元気があり、生きがいを感じ、毎日を生き生きと暮らすことができる。


しかし、常にその状態を維持できるとはかぎらず、しばしば、この目的、目標、具体的な日々の活動のバランスが崩れてしまうことがある。先にあげたようなバランスのもとで日々の活動をしてきたつもりなのだが、いつしか、その活動自体が目的化してしまい、ふと立ち止まると、自分は何のために毎日これをやっているのかがわからなくなってしまったりする。このようにしてバランスが崩れると、セルフレギュレーションが働かなくなり、精神的にも不安定となってしまい、不安になったり元気がなくなったり疲れてしまったりする。つまり、自分自身を見失ってしまうわけである。


だから、適宜、ある程度の将来を見据えた自分のパーソナルな目的(ヴィジョンやミッションを記したパーソナルステートメント、企業でいえば経営理念や社訓など)を作成したり見直し、それに基づいた中長期的な目標とその実現に向けたアクションプランを再確認するようなことが必要である。よりビビッドな形で、人生の目的、目標、こうなるとうれしいという姿を描いてみることが大切である。長期的な目標だけでなく、そこに向かうステップとしての1年単位とか数ヶ月単位といった目的や目標もはっきりさせ、毎日の活動をその当面の目標や目的の実現に沿ったものであることを確認する。そうすることによって、多忙な日々を送っていても、その活動に忙殺され自分を見失ってしまうことなく、ひとつひとつの活動が人生にとって意味のあることだと確信しながら毎日を生活することができるのである。