教育

近ごろの学校の校舎はきれいで、エアコンも完備されていて、快適なものです。ところが、依然として夏休みがあるという。そもそも夏はあまりに暑すぎて授業にならないから夏休みがあるのであって、快適な校舎があれば夏休みなどいらない理屈です。快適な校舎をつくっておいて、暑いから夏休みにするという理屈がまったくおかしいということに、だれも気づいていないとしたら、それこそおかしな話です。快適な校舎をつくるお金がある。しかし、そのお金を貧困で教育も受けられない国の人々に回せば彼らが勉強することができる。そのどっちを採りますか、と問われたときに、私たちはオンボロ校舎で我慢するので、そのお金をあちらに回してください。ただ、夏は暑いので夏休みはください、と答えるような子どもたちを育てる教育がなされていないのです。


米長(2004:102-103)

引用文献
大局を観る―米長流・将棋と人生