仮説思考

内田和成 著

ビジネスの世界で重要なのが、限られた情報の中でスピーディかつ適切に意思決定していくことである。これを可能にするのが「仮説思考」であると筆者は説く。つまり、できるだけ早い段階で筋のよい仮説を出し、それを検証し、進化させながら、決定的な意思決定や問題解決につなげていくというのだ。仮説思考ができれば、仕事のスピードも質も向上するという。それと正反対なのが、情報は多ければ多いほど良い意思決定ができるという迷信である。それだと、とにかくデータを集めようと躍起になって、気がついたら締め切りに間に合わず、枝葉末節を含み、効果のないとらえどころのない結論にしてしまう。
では、何が優れた仮説思考で、どうすれば身につくのか、という問いについては、どことなく「戦略脳を鍛える」の論旨と似ている点があるのだが、将棋のプロ棋士がまず最初に直観で候補となる手を数手に絞りこむように、経験によって鍛えられた勘といったところか。とはいえ、本書では、仮説思考とは何かにはじまって、仮説思考に必要な頭の使い方、考え方とか、役に立つ道具、方法なども紹介されており、ビジネス思考力、戦略的思考力を磨きたい場合には一読に値する本である。

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法