独立業者が身につけるべき考え方

山口(2013)は、独立事業者になるならば、サラリーマン時代と真逆な考え方をすることが求められるという。その1つが「スケジュール管理(スケカン)とタスク管理(タスカン)を徹底して行い、その代わり重要でないことはまったくやらない」という時間の使い方である。これは言いかえれば、重要でないと思われることはまったくしなくてもいいので、とにかくバリューの高い、レバレッジの効くものをやるということである。


これは、時間の使い方がサラリーマンと独立事業者では異なることを示唆している。サラリーマンの場合、時間の長さが重要で、長時間「そこにいる」ことによって存在感を出すのが大切であるのに対し、独立事業者の場合、働いている時間の長さは誰も見てくれないと山口は言う。だから独立事業者にとっては仕事は時間の密度が重要で、この密度が濃くなるように余暇や休憩時間を自由に設計する必要があるというのである。例えば、こもる場所を作って、そこで徹底的にリラックスして、それで働く時間の密度を高めるようにするという方法である。


また、山口は、お金の使い方もサラリーマンと独立事業者は異なると指摘する。サラリーマンの場合、収入が安定しており、予算をもとにお金の使い方を考える。一方、独立事業者は、収入は不安定なので、予算で考えるよりも、つねに「投資対効果」でお金の使い方を考えると言う。例えば、収入がたくさんあってもそれは一時的なものかもしれないので、もす投資対効果が高ければ「戦略的経費」として多くのお金を使ってしまうというやり方である。