サッカーワールドカップ・日本の逆転負け

ワールドカップ予選で、日本はオーストラリアに1−3の逆転負けを喫した。しかも、3点は後半の残り10分くらいで立て続けに取られている。


結果が出たあとでは何とでもいえるわけだが、「試合の流れ」の恐さを思い知らされるゲームだったと思われる。

試合の流れの重要性

http://d.hatena.ne.jp/tomsekiguchi/20060311


他の作業をしながらテレビをつけていたので、ちゃんと見ていたわけではないが、試合の流れとしては、全体的に日本が有利に進めていたと思う。しかし、オーストラリアに同点に追いつかれた1−1の時点では、試合の流れが一気にオーストラリアに傾き、さらにオーストラリアの勢いはとどめをしらないほど思いっきり高まっていた。客観的には1−1というのはイーブンであり、それで終わったとしても悪くはない。しかし、「試合の流れ」と「その流れの中に身をおく当事者」の立場としては、相手の勢いに飲み込まれそうな、かなり深刻な状態になっていたはずである。


とりわけ、有利に進めていてあと残り少しで勝利できるというときに、試合の流れの潮目が変わって追いつかれた場合は事が深刻である。おそらく、追いつかれた時点で、試合の流れ的にはすでに1−3くらいの劣勢になっていた。結局、日本はこの劣勢を、選手達の心身の立て直しによって切り抜けることができず、さまざまなところで守りの甘さにつながり、相手も勢いにのって実力以上の力を出せるようになった結果として、立て続けに2得点を許してしまったのだろう。同点にされたことで気を落とさず、勝ち越しはできずとも、得点を与えずにそのまま1−1で終了できればよかったものの、最悪の結果となってしまった。しかし、実際に流れに呑み込まれそうなところまで相手の勢いが増している状態で、必死になってふんばりきるのは相当困難なことであると思う。糸がぷっつりと切れたように、あるいは堤防が決壊していっきに洪水になってしまったように、つぎつぎとディフェンスが相手に突破されてしまった。


もちろん、すでに試合が終わっているのでそんなことがいえるのだという見方もあろう。もしかしたら、1−1で同点で終了していたかもしれないし、2−1とかで日本が勝っていたかもしれない。その違いというのは、運のような偶然性が絡んでいるのは否定できない。つまり、同点に追いつかれたあと、運良く日本が勝てたかもしれないし、オーストラリアが運悪くシュートが決まらなかったかもしれない。オーストラリアの3点のうち、最後の1点は運が良かっただけなのかもしれない。しかし、試合の流れ的に、同点になった時点で日本がかなりの劣勢に立たされたこと、それが、選手全体の心身に大きなダメージをもたらし、それが本人達のバランス感覚などを狂わせた、という意味では確からしいように思う。